ボツワナ一人旅7日目。
夜空が白み始めた頃、自然と目が覚めた。
広がる白い大地に置いたマットレスの上に、身ひとつ、いま、自分は寝転がっている。
屋根はなく、空がある。
夜空は明るくなっているが、星も月もまだ変わらず輝く。
夜と朝の間の幻想的な空間に圧倒され、しばらく動けなかった。
音はない。
広い干上がった塩湖に生物は住むことを許されず。
だから、野生生物から身を守る必要はないのだ。
―—昨日、聞いたことをぼんやり思い出した。
思い思いの場所に置いたマットレスベッドの中で、旅の仲間はまだ寝ているようだった。
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マカディカディ塩湖(Makgadikgadi Salt Pans)での朝。
キャンドルの灯りがわずかに残る道をたどり、少し離れた簡易トイレへ向かう。
その途中、地平線から太陽が顔を出した。
遮るものは何もない。
世界がオレンジ色に染まっていく。
太陽の光が眩しすぎてトイレどころじゃない……人生でもなかなか経験できない状況に笑ってしまった。
野営地へ戻ると朝食の準備が始まっていた。
昨夜は暗闇の中でのディナーだったが、朝は一転して青空レストラン。
メニューは、
と十分豪華だった。
大地の上、大自然のど真ん中で食べる朝食は、それだけでごちそうに感じる。
本格的なテーブルセッティング
出来立てのスクランブルエッグと焼きたてのトースト
朝食後は撤収作業。
荷物をまとめ、ジープへ積み込む。
もう二度と来ることはないかもしれない。
空と大地しかない世界。
何もないのに、これ以上ないほど満たされる場所だった。
オカバンゴデルタとはまったく違う魅力がある。
ボツワナで最も印象に残った場所のひとつだった。
グウェタ(Gweta)へ戻ると、再び移動の旅が始まる。
次の目的地はチョベ国立公園観光の拠点となるカサネ(Kasane)。
まずは中継地のナタ(Nata)へ向かった。
約1時間でナタへ到着。
まだ昼前だった。
カサネ行きのバスの出発までは少し時間があるとのこと。
バス乗り場の周りを散策することにした。
ナタも決して大きな町ではない。
それでも、複数のバス路線の中継地のためか、グウェタと比べると賑やかだった。
ハイウェイ沿いには露店が並び、ロバが普通に歩いている。
アフリカの田舎らしい風景だ。
露店でピーナッツを購入し、デリカテッセンで昼食を調達。
鶏肉の煮込みも甘く煮たカボチャも美味しい。
南アフリカのゴムみたいな肉や味のないウガリと違って、ボツワナのデリはハズレがないからありがたい。
バターナッツパンプキン&チキン
ナタのバス乗り場
とくにトラブルなく、ナタからカサネ行きのミニバスへ乗車。
このミニバスでの移動、思いがけずエキサイティングなロードトリップとなった。
窓越し、ハイウェイ沿いに、次々と野生動物が現れるのだ。
ジープサファリなどより、よほど近い距離で流れていく、のんびりした野生動物たちの姿を見て、ここにきてようやく野生動物の王国アフリカを実感。
もっとも、興奮しているのは自分のみで——周囲の乗客は完全に無反応…。
地元の人にとっては日常風景なのだろう。
6時間近い移動だったにもかかわらず、退屈する暇はなかった。
むしろ、人生で最も楽しい長距離バス移動だったかもしれない。
旅は順調で、夕方、まだ明るいうちにカサネへ到着した。
カサネはチョベ国立公園観光の拠点となる町。
これまで訪れたグウェタやナタとは明らかに雰囲気が違う。
チョベ川沿いには高級ロッジが並び、お土産店もある。
旅行者の姿も見える。
ボツワナに入って初めて「観光地らしい観光地」に来た気がした。
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バスステーションから宿までは徒歩で移動。
一本道なので迷うことはない。
歩いていると、道路を横断するマングースの大集団に遭遇。
さらに、道中、目の前に、食餌中のイボイノシシが…。
近づきすぎたせいか威嚇されたため、迂回しながら移動。
国立公園の町らしい歓迎ぶりだった。
ちょっとした冒険を楽しみながら歩いていると、ようやく目的地が見えてきた。
数匹のサルがぶら下がる看板は、チョベサファリロッジの入口看板だった。
マングースの集団
今回の宿はチョベサファリロッジ。
川沿いに広がる高級リゾートだ。
旅行者向け設備は一通り揃っている。
しかし、このロッジ最大の魅力はキャンプサイトだった。
自前テントなら格安で宿泊できる。
さらに、
という完璧な環境。
バックパッカーにとっては理想的な拠点だった。
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チェックイン後はスーパーで買い出し。
焼いて美味しそうな野菜も気の向くまま、買ってみた。
合計 P57.8
まだ明るかったため、テント設営もスムーズに完了。
そして、この日は焚き火にも挑戦した。
サイト内で拾った木枝を集め、トイレットペーパーとバターを着火剤代わりに使う。
見よう見まねだったが意外とうまくいった。
焼きマシュマロを作り、シェラカップでお茶を温め、焚き火で暖を取る。
アフリカの、一人だけの夜。
目前、低木の茂みの先にはチョベリバーが広がる。
これまで思い描いていた「アフリカ冒険旅行」のイメージそのものだった。
驚くほど不安はない。
むしろ満たされた気持ちのまま、テントへ潜り込んだ。
即席かまどと焚き火
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